こんにちは、教習指導員のひろくん(@hirokun_index)です。
このブログは、自動車教習所の困りごとについて解説しています。
今度仕事でマニュアル車に乗らないといけなくなりました。
僕の免許はオートマ限定なんですがどうすれば良いのでしょうか?
このような場合、自動車教習所では「限定解除」という方法があるので、今回の記事は、その限定解除について解説していきます。
ふだん、教習業務で教習生の人と話をしていても、意外と「限定解除」について知らない人が多いです。
今回は、四輪・二輪合わせて4つの限定解除について解説していますのでぜひ参考にしてください。
限定解除とは?
では、そもそも限定解除とは何なのでしょうか?
例えば、あなたがオートマチック車で普通免許を取得した場合、あなたの免許はオートマチック車限定の普通免許(以下「オートマ限定免許」)となります。
オートマ限定免許の場合、その名の通りオートマチック車しか乗れません。
ですから、仕事で軽トラなどのマニュアル車に乗らないといけないような事情が発生した場合、そのままのオートマ限定免許だと乗ることができないのです。
このとき、自動車教習所に通って、オートマ限定を解除することでマニュアル車にも乗れる免許にすることを限定解除といいます。
下の写真を見てください。
私の免許証には、『中型車(8t)に限る』と書いてあります。
あなたの免許証にも、何かしらの限定がある場合は、私の免許証のように『…に限る』という文言が入っています。
平たく言うと、この『…に限る』と書いてあるのを消す作業が「限定解除」になります。
代表的な限定解除4選
限定解除にも様々あるのですが、ここでは特に教習指導員として実際教習することの多いメジャーな限定解除を4つ紹介します。
①AT限定解除
限定解除の中でも最もメジャーなのがこれ。
オートマ限定免許の人が、何かの事情でマニュアル車に乗らないといけなくなった場合に行わなければならない限定解除です。
使用車両 | 教習時間 |
---|---|
普通自動車 | 4時限 |
メリットとしては、上表の通り教習時間数が短いため、短期間で済む点が挙げられます。
ただ、AT限定解除にも、指導員として感じる特徴というかデメリットもあります。
まずは、教習時間数が短いゆえに予習が必須である点です。
正直、半クラッチや断続クラッチの概念や、クラッチの操作方法を含めたギア・チェンジの仕方など、ある程度予習をして臨まないと、補修になる確率が高いなあという印象です。
また、やはりペーパードライバーよりは、ふだんから車に乗り慣れている人のほうが教習はスムーズに進みます。
逆に言うと、ふだんあまり車に乗り慣れていない人も、補修になる率が高い点もデメリットと言えるでしょう。
というのも、AT限定解除の教習では、坂道発進、踏切、S字やクランクといった狭路に加え、方向変換(いわゆる車庫入れ)もあって、まさに課題がてんこ盛りだからです。
そのため、ふだんあまり車に乗ってなくてハンドル操作がおぼつかない人や車庫入れが苦手な人は、ハンドル操作に加えて足元の操作にも気を配らなければなりません。
ハンドル操作と足元(クラッチ)の操作、2つのことに同時に気を配りながら運転するというのは想像以上に大変なことです。
ただ、そこまで難易度の高い限定解除ではないので、途中で挫折して断念するといった事態に陥ることはまずありませんから安心してくださいね。
②準中型5t限定解除
『準中型車は5t限定に限る』旨の限定が付されている人が、例えば仕事で4トントラックなどに乗らないといけなくなった場合に必要な限定解除がこれです。
使用車両 | 教習時間 |
---|---|
準中型自動車 | 5時限 |
平成19年5月から平成29年3月までの間に普通免許を取得した人の場合、免許の条件欄には『準中型車は5t限定に限る』と書かれています。
自家用車くらいしか乗らないのであれば限定解除する必要はなくそのままで全く問題はありません。
ちなみに『準中型車は5t未満のATに限る』と書いてある場合、前述のAT解除も合わせて行うことになります。
使用車両 | 教習時間 |
---|---|
準中型自動車 | 9時限 |
③中型8t限定解除
8t限定中型免許とは、平成19年6月1日以前に取得した普通免許で、免許証の条件欄に『中型車は中型車(8t)に限る』旨の記載がある免許です。
この8t限定を解除することによって、中型自動車に乗ることができるようになるので、例えばマイクロバスなどに乗ることができるようになります。
使用車両 | 教習時間 |
---|---|
中型自動車 | 5時限 |
また、準中型5t限定解除と同様に、AT解除も同時に行うことができるため、平成19年5月以前にAT限定で普通免許を取得した人も問題なく限定解除することができます。
使用車両 | 教習時間 |
---|---|
中型自動車 | 9時限 |
でも中型のトラックって車体が大きくないですか?
確かに普通車に比べれば大きくて一見扱いにくそうに見えますね。
しかし、ふだん車に乗り慣れている人であれば、車庫入れなんかも普通車と同じ感覚でやれば問題なく入りますからまったく問題ありません。
④AT小型限定普通二輪免許の限定解除
昨今の原付二種ブームで、AT小型限定二輪免許を取得する人が増えています。
どうせ通学でしかバイク乗らないし。
125ccのスクーターで十分ですよ!
はじめはこのように言っていた人の中にも、通勤・通学でスクーターに乗っていく中で、徐々にバイクの面白さに目覚め、でっかいバイクに乗ってみたいと思うようになる人も多いものです。
そのような人にとって必要なのが、AT小型限定普通二輪免許の限定解除です。
使用車両 | 教習時間 |
---|---|
普通自動二輪車 | 8時限 |
スクーターからいきなり普通自動二輪車にステップアップしての教習は、一見ハードルが高そうな気がします。
しかし、この限定解除をする人は、元来バイクに興味がある人やバイク好きな人が多いので、補修になる人を見かけることはほとんどありません。
それに教習時間も8時間と比較的多めに設定されていますから、十分技量アップが見込めます。
限定解除をスムーズに進めるために
でも、限定解除ってハードル高そう。
今回紹介した限定解除は、どれもそこまで難易度は高くありませんから大丈夫ですよ。
限定解除は、そこまで難易度は高くはないものの、もちろん運転の試験はありますから、少しでもスムーズに教習を進めて合格率を高めたいものです。
そこで、いくつかのコツを紹介します。
①免許取得後すぐに限定解除する
普通免許の場合、教習所によっては、いきなり普通免許(MT)を取得するよりも、オートマ限定免許取得+AT限定解除の教習料金を安くしているところもあります。
というのも、指導員的にもオートマチック車の教習のほうが指導が楽ですし、教習生の人にとっても、マニュアル車で教習するよりも教習の負担が圧倒的に軽いからです。
まずはオートマ限定免許で運転免許を取得しておいて、取得後すぐにAT限定解除の教習を始めるというパターンは、指導員的にもおすすめの方法です。
そして、ポイントは、免許取得後すぐに限定解除を始めることです。
そうすれば、安全確認の要領や法規走行、所内コースに関しても熟知しているため、やはり教習の負担が軽くなるからです。
②以前通った教習所で限定解除する
しかし、そうは言っても「もう免許を取って何年も経ってしまってるし」という人は、免許を取得した教習所で限定解除するのがおすすめです。
免許を取って5〜10年程度であれば、コースを少し走行すれば意外とすぐにコースの雰囲気や道順を思い出すものです。
何よりも同じ教習所で限定解除するメリットは、最初の免許のときに担当した指導員が再び担当することもある(できる)という点です。
気心知れた指導員であれば、限定解除の緊張も少しはほぐれるでしょう。
私も、以前担当した人の限定解除を何度もさせてもらっています。
③とにかく車(バイク)に乗り慣れておく
最初に免許をとった教習所にも通えない人は、とにかく自家用車に乗り慣れておくことです。
えっ、でも自家用車はオートマですよ?
ふだんから通勤・通学で、車やバイクに乗っている人は、教習所でマニュアルの操作に慣れるだけですから、そこまで苦労せずに限定解除できる人が多いです。
まとめ
今回は、代表的な限定解除4つについて解説しました。
前述したのですが、大切なことなので最後にもう一度強調しておきます。
限定解除は、時間数が短いがゆえに手軽なイメージがあります。
確かに難易度はそこまで高くはありませんが、指導員の立場からすると、何もかも教習所で習えばいいやといった受け身な姿勢の人は補修になる率が高い印象です。
教習時間が短いからこそ、特に初回の教習前には、しっかりと予習してある程度の知識を身に着けておくことが大切です。
そうすることで、スムーズに教習を進めることができますし、検定の合格率も高まります。
限定解除は「予習復習することが前提」くらいに思っておきましょう!
最後まで読んでいただいて、本当にありがとうございました。
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