【プロフィール】教習指導員歴15年のベテラン指導員ひろくんと申します。

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みなさんはじめまして、ひろくんと申します。

仕事はいわゆる教習所の先生で、平成19年6月にデビューした指導員歴15年のまあまあベテランの部類に入る指導員です。

ひろくん
ひろくん

今まで仕事を通じて出会った人の中で、このブログを始めるきっかけにもなった2人の教習生のお話からです。

わたくしごとなのですが、少しお付き合いいただけたら幸いです。

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ずっと我慢していた教習生のAさん

数年前のことです。

当時、学科教習を担当していた私は、授業終わりにあるひとりの教習生Aさんから声をかけられました。

「あのー、先生にすこしお話があるんですがお時間よろしいですか?」

Aさんはとても思いつめた顔をしていました。よほどの覚悟で僕に声をかけたのが容易に見て取れました。

よくよく話を聞いてみると、担当の指導員と反りが合わず悩んでいるとのことでした。

ここまではよくある話で、通常こういう場合は、上司に相談して速やかに担当指導員の変更をするのが一般的な流れなのですが、Aさんに関してはいつもと少し状況が違っていました。

もう、卒業検定の日も決まっていて、残りの教習時間も2〜3時間というところまで来ていたのです。

「なんでもっと早く言ってくれんかったん?」「いつから悩んどったの?」と尋ねました。

Aさんは「入所のときからずっと違和感を感じながら我慢していました。」と今にも泣きそうになりながら答えてくれました。

もう卒業検定間際まで来ていましたが、僕はAさんに担当指導員の変更を勧めました。

するとAさんは「波風立てたくないので、もうちょっとやし頑張ります。先生に話したらかなり気分が楽になったし。」と少しの笑顔で気丈に答えてくれました。

僕は、「なんかあったらいつでも声かけて。」としか言ってあげられませんでした。

結局、Aさんは担当変更することなく最後までやり遂げ、卒業検定も一発合格しました。

そして、卒業時に挨拶に来てくれたAさんはとても晴れやかな表情をしていました。

「先生ありがとうございました。無事に検定に合格できました。担当の指導員は嫌やったけど、でもその先生の指導のおかげで一発合格できたんやしね。」

最後まで笑顔で、気丈に振る舞ってくれました。

だからこそなおAさんに申し訳ない気持ちでいっぱいになったのでした。

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50時間補修した教習生のYさん

これは10年前に私が担当したYさんの話です。

当時大学生のYさんは、オートマ限定免許の教習生でした。

一番最初の技能教習からYさんはとても苦戦しました。

ハンドルが回らない、アクセルは踏めない、まっすぐ走れない、ブレーキはきつい、目線は近くの一点を注視、肩に力が入りまくり…。

横でありとあらゆる表現で指導しましたが、余裕がなく全く耳に入っていない様子。最初に教習した時点で、私は心のなかで確信しました。

ひろくん
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こりゃ、補修が何時間になるやら想像がつかないな…。

案の定、1段階(場内教習)の規定の時間数12時間ではとても収まるわけもなく、あえなく補修となりました。

それでもYさんは決してめげず、「先生、前よりは上手くなったでしょ。」とあっけらかんとしていました。しかし、そのあっけらかんとした態度が時として私をイライラさせました。

「もっと真剣にやらんといつまで経っても上手にならないよ!!」

担当指導員として、はやくYさんを検定に通るくらいの技量に押し上げてやらないとというプレッシャーから、声を荒らげて指導することも多くなりました。

でもYさんは、相変わらずマイペースでした。

結局1段階だけで、20時間ほど補修をしてなんとか検定に合格して仮免許取得となりました。

すでに補修料金だけで10万円近くになっていました。

ある日、僕は上司に呼ばれました。Yさんのことでした。補修料金が高額になってきているので、一度その辺の事情をYさんの親に話しておいたほうが良いのではという話でした。

私は上司の指示通り、Yさんの家に電話を入れました。Yさんのお父さんが電話に出られたので、教習の進度や様子、補修の状況等をお父さんに伝えました。

Yさんのお父さんはこうおっしゃってくださいました。

「こどものことは親が一番良く分かっています。運転のセンスはないだろうなあと。でも何時間かかっても良いから免許にだけはしてあげたいんです。」

またこうもおっしゃいました。

「こんなに補修になっても意外とこどもは教習所は楽しいとやる気になってるんですよ。」

でも、ときどき教習所から帰ってきたら部屋で泣いてる時があるんで、たぶん上手くいかなくって悔しいんだろうなあと。」

その話を聞いたとき、僕はかなりびっくりしました。

教習所でのYさんは、ひょうひょうとしてあっけらかんとして、こんなに補修になっても全然焦ってなくて何なら笑顔で。

そんなYさんが家で悔し泣きしているなんて想像もつかなかったからです。

その後路上教習になっても、Yさんは相変わらずでした。急ブレーキ、信号無視、一時不停止、標識見落としなど危なっかしい運転のオンパレードで、毎回補助ブレーキ、補助ハンドルの嵐でした。

でも本人はやっぱりマイペースで、2段階も30時間近く補修をすることになったのですが、本人はやっぱり教習所では悲壮感を見せず、楽しそうに教習を続けました。

結局教習所卒業までに50時間弱補修教習をしたのですが、僕の指導員人生の中でこんなに補修をしたのは後にも先にもこのYさんだけです。

Yさんは運転免許取得後、「免許が取れました!」と教習所に免許証を見せに来てくれました。

あのときの少しはにかんだ自慢げな表情を僕は一生忘れることはないでしょう。

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このブログで少しでも気が楽になってもらえれば

ふだん、私は、教習中によく教習生の人にこう呼びかけています。

「30万もの高いお金を払っているんだから、我慢したら駄目よ。なにか困ったことや悩み事があれば遠慮なく言ってね。」と。

でもAさんのように相談してくれる人はごくごく少数です。

たった数ヶ月では、信頼関係の醸成は難しいし、どうしても「先生と生徒」みたいな主従関係が生じてしまっているからかなと思っています。

実際多くの指導員は、自分のことを「先生」とも「教官」とも思っていません。(※このブログでも便宜的に教習所の先生と言うことはありますが)

指導員はあくまで指導員でそれ以上でもそれ以下でもありません。

たまたま教習生の人たちより早く生まれて早く免許をとって、たまたまこの仕事についているだけのことで、先生と呼ばれるような特別職でもありません。

ただ旧態依然とした指導員がいることも確かで、昭和の時代の鬼教官みたいな横柄な指導員がいることも承知しています。

そういったこともあって、いまだに自動車教習所が多くの人にとって少し怖いところになっているのかもしれません。

そしてAさんやYさんのように今でも多くの教習生の人たちは、自分を押し殺して教習所に通っているのではないかと思うのです。

私の勤める教習所では、卒業時にアンケートを書いていただいています。

教習で話したときにはニコニコと笑顔で気さくに話してくださった人が、アンケートではボロクソに教習所や特定の指導員に対して厳しいご意見を書いているのを目にすることも多いです。

もちろん我々指導員の至らなさが招いたことですから言い訳のしようもありません。

でも車の運転って本来はとても楽しいもののはずだし、高い教習料金を払っているのですからもっと身構えずに楽しく教習所に来てほしいなあとも思っています。

もし今、このブログを読んでくださっている人で、自動車教習所に通ってて何か困りごとがある人はどうか遠慮なくお問い合わせください。

僕に答えられる範囲でお答えできればと思っています。

そして、このブログを読むことで、少しでも気が楽になってもらえればと思います。

ひろくん
ひろくん

長々と書きましたが、お付き合いいただいたみなさん

本当にありがとうございます。

作者の略歴

仕事がら無駄に免許だけはたくさん持っておりまして。

大特二種取ればコンプリート

引二??

けん引二種免許という全国で4万人ほどしか持っていないというなかなかレアな免許です。

ちなみに、けん引二種が生かせる職場って一体どこにあるの…?

そして現在、以下の教習業務に携わっています。

  • 普通自動車
  • 普通自動二輪
  • 大型自動二輪
  • 準中型自動車
  • 中型自動車
  • 大型自動車
  • 大型特殊自動車
  • けん引自動車
  • 普通二種
  • 大型二種

それに加え、技能検定、学科教習、応急救護、高齢者講習、初心者講習、運転適性診断業務に携わっているかっこよく言えばオールラウンダー指導員です。

でも結局は、要するに何でも屋です。

ひろくんの履歴書

昭和後期生まれで、中年おじさんです。

地元の国立大学教育学部に進学し、小学校の先生を目指していましたが見事に挫折。

2000(平成12)年にスタートした介護保険制度をきっかけに介護の仕事に興味を持ち、2001(平成13)年、介護福祉士の養成校に入学して介護福祉士の資格を取得しました。

介護福祉士登録証

4年間、介護老人福祉施設で介護職員として働いたのち、ひょんなことから2007(平成19)年に現在の自動車教習所に転職して、いわゆる教習所の先生になり、現在に至ります。

趣味は、国語の先生を目指していたこともあり読書。学生時代はサッカー部に所属していたこともありサッカー。あとは音楽鑑賞、特にジャズが好きです。

最近は、カメラ、バイク、家庭菜園、苔栽培と手広くやっております。

自分を高めるための資格取得も趣味の一つで、介護福祉士以外にも産業カウンセラーや危険物取扱者乙種四類、運行管理者の資格を取得しています。

現在、保育士の資格取得を模索中。

最後にもう一度

もし今、このブログを読んでくださっている人で、自動車教習所に通ってて何か困りごとがある人はどうか遠慮なくお問い合わせください。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

そしてこれからもよろしくお願いいたします。


2022年5月 ひろくん

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