こんにちは、教習指導員のひろくん(@hirokun_index)です。
このブログは、自動車教習所の困りごとついて解説しています。
明日、いよいよ検定です。
絶対一発合格したいです。
検定に落ちちゃいました。
誰かなぐさめてください。
今回は、教習所の技能検定の合格率を高める秘訣を教習指導員が説明します。
2022年5月にブログを始めてから、ネタ探しや勉強も含め、今までよりネットサーフィンすることが多くなりました。すると、「卒業検定に落ちた」とか「仮免不合格」といったキーワードを多く見かけます。
そして「検定落ちた。恥ずかしいやら情けないやら」とか「誰かなぐさめてください」とか「再受験のお金が痛い」とか悲痛な叫びをたくさん目にします。
ふだん、私は技能検定員(運転の試験のとき採点をする人)として受検者の横に乗っています。
いつもはぶっきらぼうに採点する側なのですが、今回は検定に落ちて凹んでいる人を採点する側の人間が全力で励ましてみようと思います。
検定に落ちた人はもちろん、現在教習所に通っていて試験を控えている人、これから教習所に通おうと思っている人、是非参考にしてください。
ちなみに修了検定についてはこんな記事も書いています。
卒業検定についてはこちらの記事も合わせてどうぞ。
自動車教習所での運転の試験は2つ
そもそも普通免許を取得する際、教習所で受ける運転の試験のことを技能検定といいます。そして、その技能検定を教習生は2回受けることになります。
- 修了検定(仮免取得のための場内試験)
- 卒業検定(教習所卒業のための路上試験)
修了検定(以下「修検」)も卒業検定(以下「卒検」)も、減点方式での採点で70点以上が合格となります。
そして、かならず公平性や透明性を保つために後部座席に他の受検者等が乗りますので、ただでさえ検定は緊張するのに、更に緊張感が5割増しになります。
検定の合格率を高めるための秘訣
もちろん、ふだんの教習で技量を上げるしかないのですが、それにプラスして検定合格の確率を上げるためにはぜひ次のことに気を配ってみてください。
検定前最後の教習はできたら前日に
検定前最後の教習のことをみきわめ教習といいます。
このみきわめ教習はできれば検定の前日にしたいですね。もちろん、仕事、学校、バイト等々みなさんにも都合はあろうかと思います。
しかし、特に運転が不安な人は、前日に教習をしておくことで検定に向けての不安はかなり軽減します。
みきわめ教習のときのミスは気にしない
いつもみきわめ教習をしていて思うのは、ふだんしないようなミスをする教習生が多いということです。
今まで脱輪なんてしたことない人がS字で脱輪してみたり、信号無視なんてしたことない人が信号を見落としてみたりと、案外、検定を意識しすぎるあまりのミスって多いものです
ですからみきわめ教習のときのミスは「明日の検定じゃなくてよかった。」とか「膿(うみ)が出た。」くらいにポジティブに捉えるようにしましょうね。
当日は早めに来てコースを覚える
検定当日は、検定開始前少し早めにコース発表がありますから、できたら早めに教習所に行ってしっかりコースを覚えることをおすすめします。
卒検の場合は、ふだんの路上教習から、検定コースとかぶっているような道路を走るときはしっかり意識しながら走ること。
原付の免許を持っている人は原付で下見をする。地元の人は、親の車で下見をするといった方法もあるでしょう。
もちろん、検定員は修検でも卒検でもコースの指示はします。しかし、自分でもコースを覚えておいたほうが余裕やゆとりが生まれるのは言うまでもありません。
検定前にも関わらず運転に関係のない動画なんかをスマホで見ているなんて人が結構多いです。
それが緊張をほぐすためであれば問題ないんですけど、そうでなければしっかりコース図とにらめっこしましょう。
検定員はぬいぐるみと思え
ふだんの教習では気さくに喋る指導員も、検定となれば話は別です。
というのも、余計なことを喋ると不要助言となるおそれがあるからなんです。
怒っているわけではないので緊張しないでくださいね。
ですから検定のとき、僕ら検定員は、ぶっきらぼうに怒っているように見えて、余計に緊張する人もいるかもしれませんが、どうか安心してください。
また、怖そうな検定員とか優しそうな検定員とか関係ありません。採点基準がちゃんとあり主観的な判定はしません。
ですから、もし怖そうな見た目の検定員なら、UFOキャッチャーでゲットした巨大ぬいぐるみを助手席に乗せてるくらいの感覚で運転してください。
それでも検定に落ちてしまったら
それでも、修検、卒検で落ちてしまう人もいるでしょう。
なぐさめになるかどうかわかりませんが、私が指導員になってから受けた試験の不合格遍歴などどうぞ。
資格 | 落ちた理由 |
---|---|
普通二輪教習指導員 | 速度にメリハリがない ふらつき |
大型特殊教習指導員 | 脱輪 |
大型特殊技能検定員 | 脱輪 |
普通二輪のときは、ちゃんと走りきったのですが、試験官の講評はおおむねこんな感じでした。
「ひろくんさん、ちょっと速度にメリハリがなかったね。それに一回大きくふらつきましたねえ。」
がびーん。絶対不合格やん。
講評を受けた瞬間に不合格とわかりました。10年以上前のことなのですが、指導員関係の試験で初めて不合格だったので今でも昨日のことのように思い出すほどのショックを受けました。
あと、大型特殊の試験は昨年のことなのですが、思いっきり脱輪して落ちちゃいました。しかも2回も。試験官の講評は、
「ひろくんさん、なんで脱輪に気づかなかったの?」
指導員なのに恥ずかしいやら悔しいやら。
もうプライドはずたずたでございます。
もう一回なんて、
「ひろくんさん、脱輪以外は良かったのにねえ。ひろくんさんやったら30回受けたら29回はうまく走ってくれると思うんだけど、今回はその1回が来ちゃったね~。」
と、なぐさめられる始末です。
もはや、穴があったら入ったまま二度と出てきたくないくらいの心境です。
僕も指導員の試験に落ちて何回も痛い目を見ています。
修検、卒検に落ちてしまった人は、何も後ろ向きになる必要はありません。だってあなたはまだ免許を持ってないんだから、ミスって当たり前ですよ。
検定に落ちて何とも思わない人なんていません。悔しくない人なんていません。
僕自身、技能検定を担当していて不合格にすることはたくさんあります。
修了検定のときにこれ以上走っても合格の可能性がないときに「減点超過で検定中止ですから発着点に戻ってください。」と無機質に声をかけたり。
卒検で、補助ブレーキをして検定中止として、受検者を助手席に移動させ、自分がハンドルを握って教習所まで運転して帰ったり。
心のなかでは「ごめんね。」という気持ちなのです。
もちろん、変な誤解を招くので絶対声に出して謝ったりはしませんが、僕ら採点する側も結構辛いんです。
まとめ:検定に落ちてしまったあなたへ
これだけは断言できます。
不合格という失敗の経験値は、合格の経験値よりもはるかに高い!
自分も幾度となく指導員の試験に落ちているんでよくわかります。私自身、不合格の経験は、もう一度自分を見つめ直すいい機会となるのです。
- 教習生の人もきっとこのくらい緊張して検定に臨んでいるんだろうなあ
- 不合格になったときってこんな気持なんだろうなあ
ふだん、「先生、先生」と呼ばれると、人は時として横柄になりがちですが、この不合格の体験は、僕をいつも謙虚でいさせてくれますから、自分の中では何者にも代えがたい財産になっています。
技能検定に落ちてしまったあなたも同じで、この検定に落ちた経験は、これからの長い運転人生の大きな糧となるはずです。
というのも、教習所を卒業してしまえば、指導員にどんなことを注意されたかなんて数年経てばほぼすっからかんです。ましてや担当の指導員の顔や名前すら思い出せないでしょう。
でも、検定に落ちたことは、一生忘れません。
これが、いつまでもあなたを謙虚にハンドルを握らせてくれる要因となるのです。検定に落ちたあなたは、かけがえのない経験をして大きな財産を得ました。
これで生涯無事故ならば安いもんです。
これからの半世紀という長い運転人生で、検定に落ちたなんてホントちっぽけなことだと思える日がいつか来るでしょう。
どうか、運転を嫌にならずに、自分にセンスがないと思わず、ポジティブに運転を楽しんでくださいね。
最後まで読んでいただいて、本当にありがとうございました。
修了検定では、完走しても不合格になることが多いです。
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