こんにちは、教習指導員のひろくん(@hirokun_index)です。
このブログは、自動車教習所の困りごとについて解説しています。
卒検で、遅い原付を追い越そうとしたら検定が中止になってしまいました。
どうしてですか?
僕なんか自転車を追い越そうとしたら補助ブレーキをされて検定中止になりましたよ!ちょっと厳しすぎでは?
今回の記事は、卒業検定では追い越しは慎重に行わないと、検定中止になってしまう2つの理由について解説しています。
運転免許を取得したら、当然のことながら前方を走る遅い車を追い越すことは多々あるでしょう。
一方、自動車教習所の教習においては、あまり追い越しをする機会はありませんが、必要ならば追い越しをすることがあります。
その際、助手席の教習指導員が口頭や必要なときは補助ハンドルなどでアドバイスをしながら教習生は追い越しを練習します。
しかしながら、卒業検定となるとそうはいきません。
もし、検定のときに、受検者が不適切な追い越しをしそうになっても、教習のときのように指導ができませんからただ見守るのみです。
そして、不適切行動が起きそうになったら、採点基準にのっとって減点となったり、下手をすれば検定員補助などで検定中止となるのです。
では、どのような場合に検定中止になるのか見ていきましょう。
追い越しが原因で検定が中止になる場合とは?
では、そもそも「追い越し」とはどういう行為を指すのでしょうか?
追越し
車両が他の車両等に追い付いた場合において、その進路を変えてその追い付いた車両等の側方を通過し、かつ、当該車両等の前方に出ることをいう。
道路交通法第2条の21
つまり、追い越しとは、自車が進路を変えて進行中の前の車の前方に出ることを言います。
前述したとおり、免許取得後は当たり前に追い越しという行為をすることになりますが、ことさら検定に関しては慎重であるべきです。
なぜなら、不適切な追い越しは、「追越し違反」や「右側通行」といった危険行為で、それ一発で検定が中止になってしまうからです。
追い越しに関する危険行為は多々あるのですが、私が技能検定員として実際に体験した、代表的な実例についていくつか見ていきましょう。
①追い越し禁止場所で追い越しをしたとき
これは、自動車教習所の第一段階の学科教習で習うのですが、「追い越しを禁止する場所」というものが存在します。
- 標識により追い越しが禁止されている場所
- 道路の曲がり角付近
- 上り坂の頂上付近
- こう配の急な下り坂
- トンネル交差点とその手前から30メートル以内の場所
- 踏切とその手前から30メートル以内の場所
- 横断歩道、自転車横断帯とその手前から30m以内の場所
特に、検定でありがちなのは、交差点の手前、踏切の手前、横断歩道・自転車横断帯の手前の3つです。
こんな事を言うのも何ですが、こうした追い越し禁止場所で平気で追い越しをかけている車を、ふだんよく目にするのではないでしょうか?
その感覚で、検定のときに安易に追い越しをしようとすると、もちろん「追越し違反」で検定が中止になってしまうので気をつけてください。
②黄色の中央線をはみ出して追い越しをしようとしたとき
もう一つ追い越しに関してやってしまいがちなミスが、黄色の中央線をはみ出してしまうミスです。
ところで、黄色の中央線はどういう意味か知っていますか?
え?追い越し禁止じゃないんですか?
きっと、多くの人は上記のように黄色の中央線を追い越し禁止と思っているのではないでしょうか?
しかし、それは間違いです。
黄色の中央線の正しい意味は、「追い越しのための右側部分はみ出し通行禁止」です。
つまり、前の車を追い越すときに黄色の中央線をはみ出してはいけません、という意味になります。
ずいぶん回りくどくなりましたが、本質は黄色の中央線の正しい意味ではなく、ここでのポイントは、実は「車」という言葉なのです。
道路交通法上、車は自動車と原付と軽車両の総称をいいます。
自動車 | 大型、中型、普通車など |
原付 | 排気量50cc以下のバイク |
軽車両 | 自転車など |
上の表のとおり、車の中には自転車などの軽車両も含まれています。
ということは、黄色の中央線は、自転車を追い越すときですら、はみ出してはならないというかなり厳し目の道路標示になるのです。
え?でも黄色の線をはみ出して追い越している車をよく見かけるけど…。
たしかにそういった車をよく見かけますね。
でも、実はあれは法律違反なんです。
検定においては、黄色の中央線をはみ出す(※)と右側通行で中止になります。
(※)実際は、はみ出す前に技能検定員が補助ハンドルなどをして止めますけどね。
じゃあ、黄色の線をはみ出さないと追い越せないような自転車がいても、自転車の後ろをずっとついて行かないといけないのですか?
そうなんです。黄色の中央線にはそれくらい強い意味があるのです。
まとめ
今回は、検定での追い越しについての注意点についてまとめた記事でしたが、いかがでしたか?
上記に上げた2つの注意点を再度列記します。
- 交差点や横断歩道の手前は、追い越し禁止場所である。
- 黄色の中央線は、自転車すらはみ出して追い越すことができない。
この2つはもちろん法律違反で、検定でやってしまうと中止になてしまう危険行為です。
しかし、この違反をやってしまっている一般車両は何気によく見かけるものです。
ですから、検定のときに、受検者が安易に違反行為をしてしまい、中止になってしまうことがときどきあります。
卒業検定は、時間にするとせいぜい20~30分の路上走行ですから、追い越しという行為はできるだけしないようにするというのが鉄則です。
どうしても追い越ししなければならない場面に出くわしたら、上記の記事を参考に慎重な追い越しをしてくださいね。
最後まで読んでいただいて、本当にありがとうございました。
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