みなさんこんにちは、教習指導員のひろくん(@hirokun_index)です。
このブログは、自動車教習所の困りごとについて解説しています。
教習所の先生は、僕たちの運転の何を見ているのですか?
補修になる人とならない人の境目って?
今回は、我々教習指導員が、二輪教習において、教習生の運転の何を見ているかについて解説しています。
そして、今回の記事は、特にスラロームや一本橋といった課題が苦手な人に向けて書いています。
スラロームや一本橋が苦手だからといって決して悲観的になったり、教習を嫌になったりしないでくださいね。二輪教習ではそれ以上に大切なものがあるのですから。
バイクの免許にもいろいろあります。迷っている人は以下の記事をどうぞ。
夏休みを利用してバイクの免許を取ろうと思っている人は必見です。
二輪教習で大切なものとは?
二輪教習には、スラロームや一本橋、急制動といった緊張感をともなう課題があり、どうしてもそちらに気を取られてしまいます。
急制動についてはこちら。
スラロームのコツはこちら。
一本橋についてはこちらをどうぞ。
波状路については大型二輪にしかない課題です。
もちろん、最低限の規定タイムや定められた数字をクリアしなければならないことは言うまでもないのですが。
それら課題は我々指導員にとっては、優先順位一番ではありません!
では、二輪教習において各課題以上に大切なものとは何でしょうか?
安全確認
まずは、安全確認です。
運転には、認知・判断・操作の三要素があり、この中でも最も大切なのは認知です。
なぜなら、前方不注視や漫然運転、脇見運転といった具合に、交通事故の多くは認知のミスが原因で起こっているからです。
でも、二輪教習の場合、手元の操作やふらつかないようにバランスを取ることに気を取られ、安全確認を忘れたり、安全確認が遅れたりといったミスが散見されます。
合図(ウインカー)
次に、合図(ウインカー)です。
教習所のコースは道幅も狭く、S字やクランクや8の字といった狭路もあり、右左折も連続するためにどうしても合図のミスが多くなります。
- 合図のつけ忘れ
- 合図の消し忘れ
- 合図の時機が不適切
運転姿勢
最後に運転姿勢です。教習生の運転姿勢を観察していて多いのは以下のようなものです。
- ブレーキレバーを2本指で操作する
- 左足のつま先が外に開いている
- 左足のつま先がペダルの下にずっとある
- 膝がパカパカ(ニーグリップが甘い)
特にふだん原付に乗っている人や、普通二輪免許取得済みの大型二輪教習生に多いのがこの運転姿勢不良です。
残念な教習生とは?
先ほど取り上げた、安全確認や合図、運転姿勢といった項目は、スラロームや一本橋、急制動と比べると、どうしても地味であまり楽しさを感じない項目です。
一方スラロームで最速タイムを叩き出したり、一本橋で最長時間を更新するととても楽しく、達成感もあります。
そのためか、スラロームや一本橋といった課題はとても上手なのに、合図や確認といった基本を軽視するあまり、それらのミスが散見される人も少なくありません。
俺、スラローム速いっしょ!
せっかく課題は上手なのにもったいない…。
スラロームや一本橋が上手な人が、合図や確認といった法規走行をきちんとこなせばまさに鬼に金棒の無双状態なのですが。
スラロームや一本橋といった目先の楽しい課題に気を取られ、法規走行の大切さが伝わらない教習生の人が時々いらっしゃるのでそれがとても残念でなりません。
教習指導員の役割とは?
ではなぜ、我々教習指導員にとって、スラロームや一本橋といった課題の優先順位があまり高くないのでしょうか?
それは、我々教習指導員の役割が優良初心運転者の育成にあるからです。
つまり、スラロームや一本橋が上手な人を養成するのが目的ではなく、免許取得後、事故を起こさないライダーになってもらうことが目的で仕事をしているのです。
教習指導員の役割を知ると、スラロームや一本橋よりももっと大切なものがあることが分かっていただけるのではないかと思います。
補修になる人とならない人の境界
となると、教習生の人が補修にならないようにまず重視しなければならないこととは何なのでしょうか?
- スラロームが速いタイムで通過できることでしょうか?
- 一本橋に長い時間乗ることでしょうか?
そうではないことは、もう明白でしょう。
もちろん、一本橋やスラロームは最低限の規定タイムは満たさなければなりませんが、それがすべてではないということです。
私たち教習指導員は、大多数が同時に技能検定員でもあります。
教習指導員と技能検定員の違いについてはこちらの記事で少し触れています。
ですから、教習生の運転を、この運転がもし検定だったとしたら合格できるだろうかという検定員目線でも見ています。
この技能検定員目線というのが今回のポイントです。
卒業検定においては、いくらスラロームや一本橋などの課題をかっこよく見事にこなしたとしてもそれだけでは絶対合格しないのです。
- 安全確認
- 適切な合図操作
- 進路変更の手順
- 右左折の方法
前述したとおり、上記のような法律に従った走りができてはじめて、検定合格が見えてくるのです。
まとめ:課題が苦手な人はまず法規走行を極めよう!
ふだん、間近でたくさんの二輪の教習生の人達と接するなかで、やはりスラロームや一本橋がうまくいかずに思い悩んでいる人はとても多いです。
しかし、スラロームや一本橋は、一朝一夕で急に上手くなるわけではありません。
根気よく数をこなし、我々指導員のアドバイスに耳を傾けて、それをもとに何度も反復練習するしかないのです。
たった50分の教習時限で、自分の思い通りにスラロームでバイクを操れるようになったとしたら、それはもう大したもんです。
でも、今回の記事は、そういった課題が苦手な人にこそ読んで欲しい記事になっています。
スラロームや一本橋は一気に上達することが難しい課題ですが、これならどうでしょう?
- 合図をとにかく正確におこなう
- 安全確認は絶対忘れないように
- 右左折は徐行で丁寧に
- ちゃんと4本指でブレーキを操作する
- つま先の向きはまっすぐ
こういった法規走行や運転姿勢は、意識さえすれば50分の教習時限の中ですぐに実践できるのではないでしょうか?
難しい課題が苦手な人こそ、まずはこうした基本的な運転姿勢や法律にのっとった運転を極めてみてください。
そうすると課題が多少うまくいかなくても、
きっと皆さんの教習所の先生は褒めてくれると思いますよ!
法規走行を極めることを意識して教習を重ねていき、バイクに乗りなれてくれば、おのずとスラロームや一本橋もうまくいくようになると思いますよ。
ぜひ前向きに教習を頑張ってみてくださいね。
最後まで読んでいただいて、本当にありがとうございました。
これから教習所に通おうと思っている人はこちらの記事も参考にしてください。
バイクの検定で、一発アウトになる危険行為についてもまとめています。
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