こんにちは、教習指導員のひろくん(@hirokun_index)です。
このブログは、自動車教習所の困りごとについて解説しています。
いよいよ明日は初めての普通二輪の教習です。
とても緊張していますが予習は必要でしょうか?
今回の記事では、初めてのバイク教習(普通二輪)においては、ある程度の予習が必要な理由を、現役教習指導員がその理由も含めて解説しています。
バイクにもいろいろな種類の免許があります。
普通二輪免許第一段階の教習計画
①普通二輪免許第1段階の教習項目について
まずは、普通二輪免許の第1段階の教習項目について見てください。下の表は、私の勤める教習所の教習の進め方です。
時限 | 内容 |
---|---|
1時限目 | 1.車の取扱い 2.自動車の機構と運転装置の取扱い 3.運転姿勢 4.ブレーキ操作の仕方 5.発進及び停止の仕方 |
2時限目 | 6.変速操作の仕方 |
3時限目 | 7.安全走行 |
4時限目 | 8.円滑な発進・加速 9.進度の調節 10.ブレーキ操作 |
5時限目 | 10.ブレーキ操作 |
6時限目 | 11.バランスのとりかた(直線) 12.バランスのとりかた(曲線) 14.坂道の通過 |
7時限目 | 13.車両特性を踏まえた運転 15.坂道における停止及び発進 |
8時限目 | 16.オートマチック車の運転 |
9時限目 | 17.教習効果の確認(みきわめ) |
教習項目の進め方を教習計画といいます。
今回は、このうち、上の表で太字で示してある第1段階の1時限目、つまり一番最初のバイクの教習にスポットを当てた記事になります。
(注)教習計画は教習所ごとに異なりますので、あなたの通っている(これから通う)教習所がこの通りの進め方とは限りませんのであしからず。
②教習時間が短い
普通二輪免許の第一段階の教習時限数は9時限です。
私の勤める教習所は「教習項目16.オートマチック車の運転」以外は、HONDA CB400(おそらくほとんどの教習所の教習車がこれ)で教習をします。
しかし、教習所によっては「教習項目13.車両特性を踏まえた運転」を運転シミュレーターで実施する教習所もあります。
となると、第1段階でCB400に乗って教習ができる時間はたった7時限ということになります。
時間数が短く、手軽に免許が取れるというメリットがある反面、1時限の教習の密度はとても濃くなります。
③1時間1時間が勝負!!
例えば大型二輪免許の場合は第1段階の時限数は16時限(普通免許取得者は14時限)もありますから、それと比較しても普通二輪の時限数の短さがわかると思います。
つまり普通二輪は1時間1時間がとても大切なんです。
そのため、我々教習指導員も、この時間にはこれくらいはできるようになってもらわないといけないというラインがあって、それが達成できないようなら補修も視野に入れなければなりません。
④時代のせいにしてはいけないが…
私が指導員になった頃は、二輪の教習中に転倒などで怪我をしても、それがクレーム案件になることはまず皆無でした。
しかし、今は違います。ご家族や親御さんからこんな言葉を頂戴することも増えました。
なんで怪我をしてしまうような無理な教習をさせるのっ!!
もちろん、怪我をさせてしまったのは、全面的に我々教習指導員責任であることは間違いありません。
しかし、少し言い訳をすると、補修になるかならないかの瀬戸際にある人に、なんとか補修にならないようにと指導員も頑張ってみた結果であることも多いのです。
バイクはタイヤが2つしかないんだから転ぶこともあるでしょ。
昔なら、こう言って許してくれた親御さんも、時代の流れか、時折上記のようにクレーム案件にまで発展してしまうことも多くなりました。
だから我々教習指導員も、今は決して無理はしません。
ダメなものはダメで、教習生の人には無理をさせず、まずは事故防止を第一に、多少お金と時間がかかっても補修をする傾向にあることは確かです。
そしたら今度は、「補修で余分にお金がかかるなんて聞いてない」と親御さんに怒られてしまうこともまれにあるんですけどね…。
ですから、その教習時限で、ある程度の技量の向上が見られなければ、否応なく補習になってしまうことも多くなりました。
やはり時間数が短い分普通二輪は、大型二輪免許に比べると1時間1時間がとても大切になることは事実です。
普通二輪は予習が必須です!
上記のような理由から、普通二輪は1時間1時間がとても大切であることは分かっていただけたと思います。
そこで今回の記事の本丸です。
普通二輪の初めての教習で最低限出来てほしいこと、そのためには予習はほぼ必須であることについて説明していきます。
①最初の教習で出来てほしいこと
私の勤める教習所では、普通二輪免許の教習生には、入所時の説明で、一番最初の教習時には必ずしっかり予習をして臨むように伝えています。
特に以下のような人は予習が必須です。
- 普通免許を持っていない人
- 原付に乗ったことがない人
- 普通免許がAT限定の人
一番最初の教習でつまづくと、短い教習時限でそれを取り戻すのは難しく、結果補修になってしまう確率も高くなるからです。
それに何より、発進停止での立ちごけで怪我をしてしまうリスクも大きく、もう教習どころではなくなるのです。
初回の教習は、以下のことができれば御の字で、これは少し予習をしておいていただけると簡単に達成可能な内容です。
- 転倒しないように発進と停止
- 加速チェンジと減速チェンジ←できれば
最低限、発進と停止ができれば初めての教習は大成功ですよ!
②もう、どうにもならないのは?
バイクなんて楽勝でしょ?
予習?全然してませんけど何か?
しかしながら、ときどきこういう教習生の人がおられるのですが、いざ教習が始まってみると。
右手のレバーは何かわかりますか?
わかりません。
じゃあ、左手のレバーは?
わかりません。
こんな感じだと一から十まで説明しなければなりません。結果、説明に時間がかかりすぎて、乗車する時間が減ってしまうという悪循環に陥ってしまいます。
私の場合、最初の教習時限50分の内訳は、説明20〜25分、乗車25〜30分というイメージです。
しかし、全く予習をせずに教習に臨んだ場合、説明に30分以上かかってしまい、実際に乗る時間がどんどん削られてしまいます。
最近おられた教習生の方は、説明に40分弱かかってしまい、乗る時間は10分ほど。実際乗り始めてもエンストの嵐で結果あえなく補修するはめに。
バイクなめてました。
こんなに難しいとは思いませんでした。
③最低限知っておいてほしいこと
教習指導員的にこれだけは知っておいてほしいことを二つだけ。
- アクセル、ブレーキ、クラッチ、チェンジペダルの位置
- ギアチェンジの手順
これだけなら予習に30分もかからないはずです。
もちろん、教習に来られる人は、仕事、学校、バイト、遊び、勉強等々忙しいと思いますが、上記の2つだけでも予習をしておくと初めての教習がとても楽になりますよ。
まとめ
とにかく、我々教習指導員が二輪教習で一番気を使うのは、教習生の事故防止、怪我防止です。
もちろん、予習などしていなくても、50分の教習時限の中で、ある程度のレベルまで引き上げるのが我々教習指導員の役割です。
しかし現実は、アクセルやブレーキ、クラッチやチェンジペダルの位置もわからないちんぷんかんぷんな状態では初めての教習においては教習効果が上がりません。
バイクの教習に少なからず不安を感じている人は、しっかりと予習することをおすすめします。
バイクが好きで免許を取りに来る人は問題ありません。特別勉強などしなくても、「好きこそものの上手なれ」である程度知識がある人がほとんどだからです。
しかし、親に言われてやむなくとか、銀行や郵便、警察関係に就職で、今までバイクに興味はなかったけれどバイクの免許が必要になったという人はしっかりと予習しておいてください。
それがスムーズに教習を進める事ができる秘訣ですよ!
この記事を読んでいる人は、様々な理由で二輪免許を取りにいこうとしていると思います。
理由はどうであれ、しっかり予習をしておくと一番最初の教習からしっかりとバイクを楽しむ余裕が生まれます。
二輪の教習は、緊張もするし大変だとは思いますが、ぜひがんばってください。
陰ながら応援しています。何か質問がございましたら遠慮なくお問い合わせくださいね。
また一番最初の教習や入所時に知っておいてほしいことについて以下の2つの記事にまとめています。参考になると嬉しいです。
最後まで読んでいただいて、本当にありがとうございました。
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