こんにちは、教習指導員のひろくん(@hirokun_index)です。
このブログは、自動車教習所の困りごとについて解説しています。
検定中に脱輪したのに合格でした。
先生がおまけしてくれたのかしら?
僕は脱輪のせいで不合格になりました。
今回の記事は、教習や検定で起こりがちなミスである「脱輪」について取り上げます。
脱輪の説明をする前に補足しておかなければならないことがあります。
それは、自動車教習所には、厳密に言うと「浮きコース」と「沈みコース」の2種類があるということです。
沈みコースとは、コースのほうが周り(コース外)よりも約10センチメートルほど沈んでいる凹上のコースのことです。
私の勤める教習所が沈みコースであるため、今回の脱輪に関する記事は、沈みコース向けの表現になりますことをご了承ください。
脱輪には3種類ある
実は、一言で脱輪といっても、脱輪には3種類あってそれぞれで減点数が異なっています。
項目 | 内容 |
---|---|
脱輪(小) | 縁石に車輪がコツンと当たった状態 |
脱輪(中) | 縁石に車輪が乗り上がった状態 |
脱輪(大) | 縁石に車輪が乗り上がって1.5メートル以上走行した場合 |
文章だけだと分かりにくいので、写真でそれぞれの脱輪について解説していきます。
①脱輪(小)
上の写真のとおり、縁石に車輪がコツンと当たったり、車輪の側面が縁石にこすったりするのが脱輪(小)です。
脱輪(小)は減点にはなりますが、それだけで中止になったりはしませんから安心してください。
だからといって、こんなふうな教習生が多いので、それもどうなのかと指導員的には感じたりもしています。
ギリギリセ~~フ!!
いやいや、これがもし自分の車だったとしたらアウトでしょう!
これが自分の車だったとしたら、タイヤなりホイールなりが傷つく恐れがありますから、決して軽いミスとは言えません。
技能検定においては、実は大した減点ではありませんが、普段の教習からこういったミスをしないよう心がけましょう。
②脱輪(中)
脱輪(中)は、上の写真のとおり、縁石に車輪が乗り上がった状態のことをいいます。
脱輪(中)は、脱輪(小)に比べて格段に減点数が大きいので、検定合格がかなり厳しくなるミスです。
そして、この脱輪(中)が、最も起こる場所が狭路(いわゆるS字やクランク)です。脱輪(中)防止法は後述します。
検定のときに縁石に車輪を乗り上げた場合、結構な衝撃です。ですから、多くの検定受検者は「これで終わった。」と思ってしまいます。
しかし、脱輪(中)の場合、脱輪前の地点まで復帰してやり直しをすれば、まだ合格の可能性は残ります。
現に、私も技能検定を担当していて、脱輪(中)をしてしまったものの、それ以外はとても上手で大きなミスもなかったため、検定は合格という受検者を多く見てきました。
え!?あんな大きなミスをしたのに合格なの?
先生がおまけしてくれたんですね。
いえ、決しておまけではありません。
脱輪(中)は、即検定中止にはならないのですよ。
③脱輪(大)
脱輪(大)は、縁石に車輪を乗り上げてから1.5メートル以上進んでしまうと適用される項目で、危険行為と呼ばれる検定が一発中止になってしまうミスです。
ですから3つの脱輪の中でも、この脱輪(大)だけは絶対に避けなければなりません。
脱輪を防止するにはどうすればよいか
では、脱輪を防止するためにはどうすればよいのでしょうか?
以下の記事にも脱輪防止法について触れていますので参考にしてください。
①自分の車のつもりで運転すること
まずは、教習車を自分の車のつもり運転することです。
というのも、教習や検定で脱輪する人の中にはこんな人が意外と多いのです。
ギリギリいけると思ったんだけど・・・。
でも、よく考えてみてください。
自分の車だったとして、用水路に落輪しそうだなと感じたときに、イチかバチかで行くでしょうか?
絶対に行かないで、後退してやり直すはずなのです。
教習や検定も同じです。少しでも脱輪のそれがあると感じたときは、迷わず切り返し(やり直し)をするようにしましょう。
しかし、切り返し時は、ハンドルを回す方向や速度調節が難しいので、普段の教習の中でしっかり練習しておいてください。
切り返しの要領が曖昧な人ほど、切り返しするのを嫌がるため上記のようにイチかバチかで行きがちです。
②微速を保つこと
先程も書いたとおり、脱輪はほぼ狭路(S字とクランク)で起こります。
この狭路は、ただ通過できればそれで良しというわけではなく、車の誘導方法や微速(とにかくゆっくりの速度)の保ち方なども我々指導員は見ています。
そして、ふだん、助手席で教習生の運転を見ていて感じることは、脱輪して縁石に車輪を乗り上げてしまう人は、微速が保てない人が多いです。
速度が速いと以下のような負のスパイラルに陥ります。
速度が速いせいで縁石に車輪が当たる前に止まれない。→速度が速いせいで乗り上げてしまう。→乗り上げたあとも勢いがついていて1.5メートル以上走行してしまって脱輪(大)にて検定中止。
もし微速を保つことができたなら、万が一脱輪しそうになっても乗り上がることなく、縁石に車輪が引っかかって停止してくれます。
この場合脱輪(小)で済み、検定中止にまでは至らないので、被害を最小限に食い止めることができます。
つまり、狭路においては普段の教習から、微速を意識することが大切です。
特に、MT車の場合は、微速を保つ断続クラッチが難しいのでしっかり練習しておいてくださいね。
まとめ
今回は、検定で起こりがちなミス「脱輪」について取り上げました。
特に脱輪(中)や脱輪(大)は、大きな減点や検定中止に直結するミスになります。
ですから、ふだんの教習から次の2つをしっかり意識してみてください。
- 絶対に脱輪をしない。脱輪(小)ですら自分の車だったら結構大きなミスであること。
- もし、少しでも「このまま行ったら脱輪するかも」という思いが頭をよぎったら、絶対に切り返しをすること。
その上で、今回の記事が、検定を控えているあなたの一助になればこれ幸いです。
最後まで読んでいただいて、本当にありがとうございました。
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