こんにちは、教習指導員のひろくん(@hirokun_index)です。
このブログは、自動車教習所の困りごとについて解説しています。
仮免の試験で、ポールに接触して検定中止になりました。
下手くそな自分が嫌になります。
検定で落ちる人っていますか?
今回の記事は、普通車の修了検定(以下、「修検」)で一発アウトで不合格になってしまう危険行為について解説しています。
普通車の仮免取得のための運転の試験、いわゆる修検は、多くの人にとって人生初の運転の試験になり、教習生の緊張感も半端ない試験になります。
そのため、私の肌感覚にはなりますが、卒業検定に比べると修検のほうが合格率が低いです。
以下の記事でも、修検については書いています。
その中でも、今回は修検における一発アウトの危険行為について深堀りした記事になっています。
危険行為とは?
そもそも危険行為とは、どのような行為のことをいうのでしょうか?
- 危険行為とは?
-
- これをやったら今までの運転がたとえ百点満点だったとしても、検定が一発で中止になってしまうミスのこと。
前述した通り、修検はほとんどの人にとって人生で初めて受ける運転の試験ですから、緊張のあまり危険行為で検定中止となる人も少なくありません。
結論から述べると、普通車の修検での危険行為での中止は、ほぼ脱輪と接触です。
今回は、この2つの危険行為について詳しく解説していきます。
修検での危険行為①:接触
接触には、厳密にいうと以下の二つがあります。
- 接触とは?
-
- 接触小…車体が障害物に軽く接触した場合
- 接触大…車体が障害物に強く接触した場合や、軽い接触が継続した場合
試験が一発で中止になってしまう接触とは、接触(大)のことを指します。
じゃあ、接触(小)ならセーフなんですね?
確かにそうなんですが、我々検定員が接触(小)を適用することは、まずもって、ほとんどありません。
想像してみてください。
自分の車のバンパーが、軽く電柱や壁にこすったとしても、車は大きく傷つきますし、修理代も安くは済まないでしょう。
そう考えると、試験の接触はほぼ100パーセントの確率で接触(大)となり、検定は中止になります。
そして、修検での接触はほぼクランクで起こります。
ちなみに、これは余談ですが、10年以上技能検定員として、多くの修了検定を担当してきて、接触(小)を適用したのは2回だけです。
もちろん、接触(大)を回避しようとして接触(小)になった、といった神業的なことができるはずもなく、接触(小)はまさに偶然の産物なのです。
修検での危険行為②:脱輪
脱輪も、接触同様に、厳密にいうと種類があります。
- 脱輪とは?
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- 脱輪小…縁石に車輪がこすった場合
- 脱輪中…縁石に車輪が乗り上がった場合
- 脱輪大…縁石に車輪を乗り上げて、1.5メートル以上進んだ場合
試験が中止になってしまう脱輪は、この3つのうち脱輪(大)だけです。
やはりこの脱輪が起きやすいのは、前述したクランクやS字などのいわゆる狭路です。
脱輪については、以下の記事も参考にしてください。
それでは、接触や脱輪の防止法についてみていきましょう!
脱輪や接触をしないためには
では、この脱輪や接触を防止するためにはどうすればよいのでしょうか?
脱輪を防止するのは比較的容易ですので、まず、脱輪の防止法から解説します。
①縁石に乗り上げるような速度で走らない
前述した通り、脱輪が起きる場所はほとんどの場合S字とクランクです。
ですから、誰に気兼ねすることなく、超ゆっくり慎重に通行すればよいのです。
例えば、これが外周路や長い直線路であれば話は別です。あまりに低速で行き過ぎると、加速不良、いわゆるノロノロ運転で減点の対象になってしまいますから。
でも狭路の場合は自分のペースでゆっくりでよいのです。
ゆっくり走ることで、万が一脱輪しそうになっても乗り上がることなく、縁石に車輪が引っかかって停止してくれるので、この場合脱輪(小)ですみます。
脱輪(大)は、脱輪(中)の状態から1.5メートル以上進むことで発生する現象ですから、そもそも脱輪(中)を防止すれば、脱輪(大)は起こりようがない訳です。
ゆっくり行くことで脱輪(大)を防止しましょう!
- 浮きコースと沈みコースとは?
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- 沈みコースは、コースのほうが周りよりも10センチ程度沈んでいる凹状のコースです。一方、沈みコースとは逆にコースのほうが周りよりも浮いている凸状の浮きコースといいます。
- 沈みコースでは、縁石に車輪が乗りがってしまいますが、浮きコースにはその概念がありません。あなたの通う教習所が浮きコースの場合、車輪がコースから逸脱した場合が脱輪(中)になります。
②接触防止はギャンブルしないことがコツ
一方、接触防止はそう簡単ではありません。
というのも、接触する半数ほどの人は、そもそもポールに接触しそうなことに気づいておらず、「コツン」と接触音がして初めて気づくために防ぎようがないのです。
日頃の教習から、クランク通過の際は、ポールと車体が接触しないかきちんと確かめるよう指導はしています。
しかしながら、検定の緊張も相まって、行き先に目を配ることに気を取られたり、内輪差にばかり気を取られてしまったりして接触前に気づけない人を助手席から多く見ています。
ただ、逆を言うと残りの半数の人は、車体がポールに接触しそうなことをわかっていながら、そのまま突っ込んでいくのです。
そして、検定終了後に尋ねると、おおむねこんな答えが返ってきます。
ぎりぎり接触せずに行けると思ったんです。
でも、よく考えてみてください。自分の車のバンパーが電柱にこすりそうになったときや、塀に当たりそうになったとき、果たしていちかばちかで行くでしょうか?
当たり前のことですが、自分の車なら絶対に行かないはずです。
しかしながら、検定では、接触してしまうかもしれないリスクを犯して突き進んでしまう人が跡を絶たないのはなぜなのでしょうか?
それは、ポールに接触しそうになったときのやり直しの方法(切り返し)をきちんとマスターしていないからです。
結局の所、接触しそうになって停止したとしても、どう切り返ししてよいかを理解していないために、接触のリスクを犯してそのままやり直しをすることなく突き進んでしまうのです。
ふだんの教習で、しっかりと切り返しの要領を練習しておきましょう。
まとめ
日頃、検定業務に従事していると、たくさん補修をしている受検者の方が、S字やクランクで失敗しても、しっかりと自信を持って切り返しをする姿をよく目にします。
そして最後まで走りきって合格を勝ち取るのです。
おそらく、ふだんの教習でもたくさん失敗した分、たくさん切り返しをしているため、切り返しが板についているものと思われます。
一方、修検において、脱輪(大)や接触(大)で不合格になる人のほとんどは、補修なしのストレートで検定に臨んでいる人です。
そのためか、修検終了後こんなふうにぼやく人も多いものです。
教習ではこんな失敗したことないのに。
そう、ふだんの教習で、S字やクランクでの失敗経験がほとんどないために、本番の修検で失敗したときにうまく切り返しをすることが出来ないのです。
そんなのちゃんと教えてくれてない指導員のせいじゃん!
たしかにそう言われると我々にも責任はあるのですが。
もちろん我々指導員は、万が一に備えて切り返しの指導はします。しかし、失敗したときのやり直しにばかり時間を割けないこともまた事実です。
ですから、修検を控えるあなたも、復習やイメトレをしたり、教本で切り返しの要領をしっかりと勉強してみてください。
そして、自信を持って修検に臨んでくださいね。
最後まで読んでいただいて、本当にありがとうございました。
技能検定とはとてつもなく緊張するものです。脱輪や接触をしないよう以下の記事を参考に緊張を和らげてくださいね。
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