みなさんこんにちは、教習指導員のひろくん(@hirokun_index)です。
このブログは、主に自動車教習所の困りごとについて解説しています。
教習所の先生が、安全運転する上で一番大切だと思うことってなんですか?
今回の記事は、安全運転の基本である「車間距離」について考えるコラム的記事になっています。
もちろん、自動車教習所の技能検定でも車間距離が近ければ減点となるため、今回の記事が、これから教習所に通う人の参考にももちろんなるはずです。
しかし、今回の記事ははそうしたことは抜きにして、初心運転者教育に携わるいち教習指導員として、安全運転や交通事故の減少に少しでも貢献できないかという思いで書きました。
私事ですが、2022年5月に副業として、教習指導員という自分の仕事の知識を生かして、そのノウハウをブログにまとめようと拙ブログをはじめました。
このブログを開始してから約半年。本当に微々たる金額ですが、少しずつ収益化もできてきました。
そして、それに伴ってブログの宣伝を第一目的としてTwitterもほぼ同時並行ではじめました。
今でももちろん、ブログの宣伝にSNSを利用していますが、少しずつ私の気持ちにも変化が生まれてきたのです。
それは、教習指導員でも警察官でもない多くの方々が、SNSを利用して、安全運転について真摯に考えていらっしゃる書き込みに触れたからです。
あけましておめでとうございます。
— ハナ (@kurumabaka7) January 1, 2023
今年もみなさんが無事故でトラブルにも巻き込まれること無く、車を運転できることを願っております。
車の運転の今年の目標があれば教えてください。各自が他人の目標を見ることにより、良い影響を与えられる・受けられると思っています。
よろしくお願いします。
昨年中は大変お世話になりました。
— 池袋暴走事故遺族 松永拓也 (@ma_nariko) January 1, 2023
本年もどうぞよろしくお願いいたします。皆様にとってより良い一年になりますように。
今年も #交通事故ゼロ を目指し、#あいの会 として活動に取り組んでいきます。
年末年始は特に交通事故が増えます。どうぞお気をつけて。
写真は2019年1月1日 公園で遊ぶ莉子 pic.twitter.com/G5DKNAWEaJ
私にもできることがあるのではないか?
警察官は取締りはすることはできても、運転者教育に携わることはできません。
そういう意味で、我々教習指導員は、優良初心運転者の教育に携わることのできる唯一の職業ではないかと思うのです。
その運転者教育に携わることのできる我々の強みを生かして、大げさですが、少しでも交通事故を減らす取り組みができればと、今回の記事を書きました。
一人の教習指導員ができることは、本当にちっぽけなことですが、この記事が一人でも多くの人の目に触れ、一人でも良いので共感をいただけたら嬉しいです。
交通事故の3割は、追突事故という現実
まずは、下の表を見てください。
追突事故 | 出会い頭 | 右左折 | |
---|---|---|---|
平成22年 | 32.4% | 26.7% | 13.5% |
平成23年 | 33.3% | 26.1% | 13.3% |
平成24年 | 34.8% | 25.3% | 13.0% |
平成25年 | 35.8% | 24.8% | 12.6% |
平成26年 | 36.2% | 24.5% | 12.6% |
平成27年 | 36.7% | 24.3% | 12.4% |
平成28年 | 37.0% | 24.2% | 12.4% |
平成29年 | 35.5% | 24.5% | 12.7% |
平成30年 | 34.7% | 24.8% | 12.6% |
令和1年 | 33.1% | 25.2% | 12.9% |
令和2年 | 30.9% | 25.7% | 13.4% |
これは、内閣府による令和3年交通安全白書の、事故類型別交通事故発生件数の構成率の推移なるもので、これを見ると、全体の3割の交通事故は追突事故ということがわかります。
もちろん原因は一つだけではありませんが、大きな要因となっているのは車間距離不保持です。
そこで今回は、安全運転の基本として車間距離について取り上げます。
安全な車間距離の目安2つ
特にすでに免許を持っていて、大型免許や二種免許などを取りに来た教習生に、路上教習中に尋ねることがあります。
ふだん自家用車ではどれくらいの車間距離を取っていますか?
おおむね、帰ってくる答えはこんな感じかな。
- 適当っす!
- あんまり気にしたことないっす。
- 普通くらいです。
- もしかしたら狭いかも?
- まあまあ空けてる方だと思います。
- 人よりは多めに車間距離を取ってます。
免許を取って運転に慣れてくると、ただ特に意識もせず、前方の車に追従しているだけという人が多いようです。
さらに、「まあまあ空けてる方だと思います。」とか「人よりは多めに車間距離を取ってます。」と答えてくださった教習生に今度はこう尋ねます。
具体的には何メートルくらいですか?
この質問に答えられる人は皆無です。
今、教習所に通われているみなさんは、必ず指導員から車間距離については習っているので、この質問には容易に答えられるはずです。
でも、なぜか免許を取って経験のあるドライバーのほうが、意外に車間距離にはルーズだったりするのです。
速度計の読みから15を引いた数字が基本
安全な車間距離の目安は、速度計の読みから15を引いた数字をメートルに読み替える。
これは、時速30~60キロメートルで走行しているときの目安で、例えば時速40キロメートルで走行しているときの安全な車間距離の目安は40-15=25メートルとなるわけです。
次の動画を見てください。時速40キロで走行していて上記の通りのおおむね25メートルの車間距離で前車に追従しています。
前の車が、かなり遠くに小さく見えますね。
どんな印象を受けましたか?
大多数の人は、「こんなに空けなくても。」と感じたのではないでしょうか?
ですからざっくり感覚的には、ちょっと大げさなと感じるくらいに車間距離を取っておけばよいと思います。
しかし、普通免許の教習生に、路上教習中にこの車間距離を求めるとみんな口をそろえてこう言います。
こんなに車間距離取って走りよるの僕らだけやん!!
確かに!
そしてこう畳み掛けてきます。
親もこんなに車間空けて走ってないし、なんで教習所ではこんなに車間距離空けないといけないんですか?
こんなふうに言われると、なかなか言い返す言葉が見つからないのですが、私はいつもこのように返答しています。
それはね、”安全な”車間距離の目安だからだよ。
「安全」を辞書で引くとこう出ています。
- 危険がなく安心なこと。
- 生命にかかわる心配、ものの盗難・破損などの心配のないこと。
つまりただの車間距離ではなく、万が一何があったとしても絶対に自分の生命が脅かされないのが安全な車間距離と言えるのです。
具体的な目安は白線と時間
では、何を目安に安全な車間距離を保てばよいのでしょうか?
今回2つ紹介しますが、両方とも自動車教習所では当たり前に指導している内容です。
- 道路標示
- 車頭時間
まずは、道路標示に注目します。
実は一般道路では、白い点線は5メートルで、線と線の間の空白も5メートルと決まっていますので、点線と空白を1セットとすると1セットが10メートルになるのです。
つまり、時速40キロメートルで走行しているときは、点線と空白3〜4セット分あけておけば安全な車間距離と言えるわけです。
そしてもう一つが車頭時間です。
これは距離を時間で測る方法で一般道では3秒が目安になります。
例えば前車が目印となる信号機の真下に差し掛かったときに数え始め、自分がその信号機の真下に差し掛かったときに3秒経過していれば、安全な車間距離が確保できているという方法のことです。
ポイントは「1、2、3(いち・に・さん)」と数えるのではなく、「01、02、03(ぜろいち・ぜろに・ぜろさん)」と数えるところです。
先に紹介した白線の方法だと、どうしても目線が地面に落ちてしまうのと、40~50メートルレベルになると正しい距離が目測では測りづらくなるデメリットがあります。
ですから、安全な車間距離の目安としては、この車頭時間を使うほうが間違いないでしょう。
まとめ
追突事故を防止するためには、車間距離だけでなく、漫然運転や脇見運転といった認知ミスも防止しなければなりません。
しかし教習していると、免許を持っていない普通免許の教習生よりは、免許を取ってある程度年数が経過している上位免許を取得しに来た教習生のほうが、車間距離にルーズなような気がします。
運転に慣れてしまっていて、初心運転者の頃のような緊張感も欠如し、短い車間距離にもあまり怖さを感じなくなっているような気もしています。
もう一度初心に帰って、意識して安全な車間距離を確保するように心がけてください。
そして、安全な車間距離の保持にはもう一つ「あおり運転防止」の効果があります。
みなさんが逆の立場だったらどうでしょう?
ルームミラーで後ろの様子を見たときに、後ろの車がやけに大きく写っていたらきっといい気はしないのではないでしょうか?
昨今のあおり運転のニュースでも、被害者側が警音器を使用したり、車間距離を詰めたりと、加害者に対してアクションを起こしたことで相手の感情を刺激したケースも少なくありません。
相手に勘違いされないためにも、しっかりと距離を取った運転を心がけましょう。
最後にもう一度。
安全な車間距離の目安は、速度計の読みから15を引いた数字をメートルに読み替える。
これを目安に安全な車間距離を保つだけで、交通事故を起こす確率が3割減となるわけですから実践しない手はないでしょう!
今回の記事が、あなたの安全運転・無事故無違反の一助になることを祈っています。
最後まで読んでいただいて、本当にありがとうございました。
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